チックとヤマハとベーゼンドルファー

ヤマハがあのベーゼンドルファーを買収するという話を聞く。
ベーゼンドルファーのピアノといえば、思い浮かぶのがこのアルバムである。

Eye of the BeholderEye of the Beholder
(1990/10/25)
Chick Corea's Elektric Band

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チックコリアが80年代後半に結成したエレクトリックバンドは、MIDI制御によるデジタルシンセやサンプラー、シーケンサーによる打ち込みなど、その名の通り電子楽器を中心とした、当時の最先端の音を聞かせるというコンセプトであった。ジャンルこそ違うが、日本で言えばTMネットワークみたいな事を、同じ頃にやっていたのである。

これはその三枚目のアルバムにあたるが、今までのデジタルっぽいトンがった音は影を潜め、アコースティックピアノを中心とした演奏に急転換する。飽き性な彼の事、なんだ電子楽器に飽きちゃったのかと思ったが、それは違うのであった。
なんと名器と呼ばれるベーゼンドルファーに、MIDI制御ユニットを魔改造?して取り付け、生ピアノを弾きながらシンセと同期を取ると言う、ややこしい演奏をやってのけたのである。しかし結果は決して無意味ではなく、ベーゼンドルファーの美しい響きを殺さぬ様に、無機質なシンセの音が上手く調和した素晴らしい音が聞けるのだ。


一方前に書いたTMネットワークであるが、GetWildでベストテンに初出演した時には、これと逆の事をやっている。アコースティックピアノをMIDI制御し、キーボードで弾いていたのだ。ピアノの鍵盤が勝手に動くその様子は、音楽的には無意味であったが、ヤマハ製品のデモンストレーションとしては最高の機会だった事だろう。

話はチックに戻るが、魔改造されたベーゼンドルファーの調子はイマイチで、レコーディングはともかく公演に使えるシロモノではなかった。
そんな話を聞きつけて飛んできたのがヤマハである。TMネットワークが使った物より遥かに進み既に市販もされていた、MIDI制御ユニット付きアコースティックピアノをチックに差し出したのである。その出来の素晴らしさにチックはヤマハと契約を結んだのであった。

チックはそのピアノと一緒に公演に周ったのであるが、ある時問題が発生した。重さの関係で飛行機でピアノが輸送出来なくなったのだ。仕方なく機材からヤマハのピアノを外し、以前と同じくキーボード中心(ヤマハのSYシリーズだったが)のセットへと戻してしまった。しかも次のアルバムである「IN SIDE OUT」では、コンセプトをまた電子楽器中心の路線へと戻したため、そのピアノの出番は無くなってしまったのだ。

自分は「IN SIDE OUT」ツアーのチケットを買って見に行ったのであるが、そんな事情でチックが弾くアコースティックピアノの音が聞けなくて、ガッカリした思い出がある。しかし鳥肌モンであるデイブ・ウェックルのドラムソロを聞いたら、そんな気持ちは何処かへ吹っ飛んだのであった。

2007.11.27 | Comments(0) | Trackback(0) | フュージョン

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